ろまんくらぶ「仮面の天使」152

朝からこれではいけないと、健は両手でパンパンと頬を叩く。
「しっかりしなくちゃ。俺は経営者なんだから」
そうは言いながらも鏡に映る顔はどこか生気がなく、青白い。

鞄を手に持つと、玄関へ向かう。茉莉の部屋の方向を見るが、そのまま靴を履く。扉を開け、静かに外へ出るとガチャリと鍵をかける。
「彼女が今夜も帰ってこなかったらどうしよう」
そんな考えが頭をかすめる。

今のところ今夜は約束がないから、またひとりでスーパーに行って、買い物をして、、。それで彼女が帰ってくるのを待たなければならないのだろうか、、。
「あああ」
考えると気がめいってくるので、仕事のことを思い浮かべようとする。

朝の光の中、目の前を髪の長い女子学生が通り過ぎる。紺色のセーラーに襟の白いライン、赤いリボンが清楚でその唇はうっすらとピンク色をしていて、、。
「ああ、いけない」
ぼそっと呟くと健は目をそらす。しばらくすると子供づれの女性が通り、彼女にも目を向けてしまう。ふくよかな胸に目がいってしまう。
「どうしたらいいんだ」
彼の頭の中に妙な妄想が浮かんでくる。
「だめだ、だめだ、だめだ」
浮かんできたイメージを振り払うように頭を振る。鞄を握る手に思わず力が入る。



オフィスのあるビルの前に到着すると、すれ違った女性の香りがふわっっと漂ってきて、うっとりとしてしまう。彼はなんだか気分がおかしくなりそうだった。

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