ろまんくらぶ「仮面の天使」190

そうやって徐々にスタイルが出来上がってくるのを大きな鏡で眺めていると、アンディは気分が高揚してくる。ついに日本での渋谷デビューかと、それはアニメの見過ぎなのかなあと赤くなる。そんなことを考えるなんて、デュラハンに出てくる主人公みたいだと、、。

「終わりました。いかがでしょうか」
美容師に感想を聞かれる。メガネをかけて鏡を見て、彼はハッとする。
「やっべ」
つい本音が漏れる。イケてる感じだけど、結構派手だ。
「あの、、」
驚いたアンディは恐る恐る美容師に聞いてみる。
「このスタイル、オフィシャルな場所ではどうしたら、その」
「ああ、それですか。まあ、確かに前のお客様の髪型と比べると、飛んでいるので」
「実は、これかっこよくて気にいってるのですが」
「わかりますよ。このスタイルだとスーツとかの時、どうすれば、でしょうか」
「まあ、その」
「大丈夫ですよ。スタイル少し崩しますね」
スタイリストは手早くスタイルを直す。長めになっている前髪の部分を上に持っていき、ワックスで固め梳かす。全体を同じくワックスを使いながら、整える。すると不思議な事に少し短めの男っぽいスタイルに変身し、メッシュの部分も目立たなくなる。
「いかがでしょう。こうすれば、いいですよ。説明しましょう」
スタイリストはその手順を丁寧にアンディに解説する。
「これなら、確かに」
「崩れ予防にはハードワックスで仕上げていただければ」
「わかりました」
アンディも納得する。
「で、本日はどうなさいますか」
「えっと、さっきのスタイルで」
「かしこまりました」
言われてスタイリストは嬉しそうだ。きっと自慢のデザインなのだろう。ハードワックスを櫛で梳かしながら、スタイルを元へ戻して、仕上げに入る。アンディはなんとなく笑みが溢れる。きっと茉莉も喜んでくれるだろう、、。

ろまんくらぶ「仮面の天使」189

ファッション誌を夢中で眺めていると、時間が経つのが早い。茉莉は流行の服のページを熱心に見つめては、気に入ったデザインのブランド名をチェックする。その間にもアンディの変身は着々と進んでいた。

サイドをバッサリとそぎ落とされた時、彼は今までの自分を脱ぎ捨てたような感じがした。これが渋谷っぽい今の流行なのかと、ワクワクしてくる。
「前髪はいかがいたしますか?このデザインはアシンメトリーなので、その感じでいきますか?」
「はいっ」
アンディは思い切って挑戦する。前髪が少しずつ左右で長さが違うところが斬新だった。
「トップは長さにアレンジを加えて、流す部分と立ち上げる部分があるので、それで大丈夫ですか?」
「はい、それで」
だんだんと気分が高揚してくる。鏡の中の自分はまるで今までと違っているのだろうと、メガネを外してはいるものの、強く感じることができた。アンディの髪を手がけているスタイリストはテキパキと、かつ細かいカットを入れながら、仕上げていく。

アンディのスタイルが仕上がるのはカラーも入れると2時間はかかる。茉莉はファッション誌にも飽きてきて、ちょっと眠くなってくる。サロンのソファーは柔らかくて、彼女はウトウトとし始める。すっかり眠ってしまった彼女は、まるで何も知らない少女の様な表情をしていた。

スタイルが出来上がってくるのを見ている内に、アンディはちょっとイタズラ心を起こす。執事が驚いたっていいやと思い彼はカラーで遊ぼうと思いつく。
「すみません、あの」
「いかがなさいました?」
「少しだけ、メッシュ、入れられますか?」
「いいですよ。このスタイルにはここの長い部分に変化を持たせると面白いと思います」
「それでいきます!」
アンディはやばいなーと思いながらスリルを感じていた。きっと茉莉も喜ぶだろうと想像する。

ろまんくらぶ「仮面の天使」188

「あ、これなんか、どう?」
茉莉がカタログをアンディへ差し出す。
「え、これ」
やっぱり、と彼は感じる。そのモデルのスタイルは髪にメッシュが入っていて、限りなく金髪に近かった。これはやっぱりまずいなあと彼は感じる。上海での取締役会で身につけるスーツには合わないし、、。
「何?これはいや?」
彼の表情が難しくなったので彼女は察する。
「んじゃ、これは?」
「う」
彼女の見せる写真はどうしても派手だった。何より髪色がかなり明るくて、帰ったら執事が仰天しそうだった。
「あーこれもダメかあ。難しいなあ。んじゃ、これは?」
「あ、あの、その、形ではなくて、その髪色が」
「なーんだ。大学だとこんな感じの色の子、いっぱいいるのにダメなのかな」
「いや、実は、その、家業の手伝いをしていて、会議とかに出ないとならないので」
「あ、そっか。それでね。仕事で」
それを言われると茉莉は何故だか健のことを急に思い出し、気分が悪くなる。
「い、いや、その、形はいいんだ」
「わかった。じゃ、これは?」
「あ、それなら、、」
茉莉が示した髪型は両脇に剃り込みが入っていたものの、トップを立ち上げてあって、かっこ良かった。まあ、スタイルは家でドライヤーで変えれば問題なさそうだった。
「でー、色はあ、、、コレ」
彼女は割合と無難な線で押してくる。
「うん。これなら」
「いいでしょ?少し明るめにして、春らしくて」
「うん」
「スタイル的にはさっきのジーンズに合うし」
「そうだね」
アンディはほっとする。これで執事に卒倒されなくてすみそうだし、茉莉も満足そうだった。
「お待たせいたしました。お席にご案内します」
ちょうど、スタイリストがやってくる。茉莉はカタログを見せる。
「こんな感じで、それで、この色で」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
「じゃあ、行ってくる」
「うん。待ってる」
茉莉はサロンにあるタブレットをかりるとファッション誌を探す。係に案内されて、アンディは大きな鏡のある席につく。

ろまんくらぶ「仮面の天使」187

おしゃべりで楽しく過ごしている内にサロンの予約時間が近づいてくる。
「ね、少し早めに行って、スタイル考えようよ」
「あ、そうだね、うん」
アンディは少しうつむき加減になる。どうしよう、髪型を変えようかとは思っていたものの、さっきのジーンズに合わせるとなると、、。
気がつくと茉莉はどうやらお化粧室へ行ってしまったようだ。その間に伝票を取ると彼は会計を済ませてしまう。レジにいると茉莉が戻って来るのが見える。彼女は急いで近づいてくる。
「ごめん」
茉莉はお財布を取り出す。
「いいよ。だって今日は色々と相談に乗ってもらってるし」
アンディは丁寧に断る。
「ありがとう。ごちそうさまです。美味しかった」
彼女はにっこりと笑う。その笑顔を見て、彼はまた少し赤くなる。
「さてっと、じゃあサロン行こう」
「うん」
茉莉に案内されて、ふたりはサロンへ向かう。スクランブル交差点を行き交う人々の中に彼が買ったのと似たようなジーンズの男性を見かける。髪が金髪だったりと、アンディは少し不安になる。
「まさか、ね」
「着いたよ」
「いらっしゃいませ。ご予約にはまだ少しお早いですが」
「いいの。髪型の相談するから。ね」
「う、うん」
「すみません。ヘアカタログありますか?」
「ええ、そこの棚に雑誌と、それと当店独自のものが」
店員は店のモデルのカタログを持ってくる。
「ありがと。じゃあ、さっそく」
茉莉は店のカタログのページをめくる。側にいるアンディはドキドキしてくる。

ろまんくらぶ「仮面の天使」186

ふたりは窓際の席に案内される。上質な生地の淡いブルーのテーブルクロスの上に真っ白なクロスがかけられている。しばらくするとウェイターが水を持ってくる。
「ご注文はお決まりですか?」
「ええっと、、、アフタヌーンティーセットをふたつとあとはBLTサンドを。持ってくるのは全て一緒で」
「かしこまりました。お茶の種類をお選び頂けますが」
「何にする?」
聞かれて茉莉は答える。
「ダージリンにしよっかな」
「じゃあ、ふたりともダージリンで」
「かしこまりました」
ウェイターが行ってしまうと、ふたりは少し沈黙する。アンディは緊張してきて、勉強を教わっている時のいつものペースが出てこない。茉莉は窓から外を見てぼんやりしている。光が彼女の瞳の色を際立たせる。

「お待たせいたしました」
丁寧な手つきでウェイターはティーセットをテーブルに並べる。色とりどりのお菓子が3段に並べられ、甘いおしゃべりをしているようだった。ウェイターはそれぞれのカップに静かに紅茶を注ぐ。湯気とともにダージリンのいい香りが漂い、茉莉はうっとりと目を閉じる。すると彼女の艶やかな唇が余計に目立つ。
「どうぞ、ごゆっくり」
頭を下げるとウェイターは離れていく。

お腹が空いているアンディはサンドイッチに手を伸ばす。茉莉はマカロンをつまみ、口へ運ぶ。さっくりと噛んだ時に、彼女の白くて小さな歯がのぞく。どうしても彼女の唇に目が行ってしまう彼は、サンドイッチをよく噛まずに紅茶で流し込む。お腹が空いているはずなのに、頭は別のことを考えている。黙っている彼に彼女は不思議そうな視線を向ける。
「どったの?」
「いや、なんでも」
「ここの紅茶もお菓子も美味しいね」
彼女はにっこりと笑う。
「良かった。気に入ってもらえて」
そして、彼はほっとする。その後は、ふたりで紅茶を飲み、お菓子を楽しみながら、たわいないおしゃべりを続けた。春の日差しが世界を柔らかく包んでいた。












「仮面の天使」で主人公が餃子を食べてますが

私も餃子は大好きです。あと春巻に様々な点心。

最近では家では「香港飲茶」の餃子を

焼いてよく食べています、、。


話がずれますが

最近スマホのアプリゲームにハマっていて

その中の「幕末カレシ」の次のイベント

「お刺身VS煮魚」を結構楽しみにしています、、。

どっちが好きなのかって?

両方好きなので選べないです。どうしよう、、。






ろまんくらぶ「仮面の天使」185

茉莉はスマホで少しお洒落な美容室へ早速予約を入れる。そこはファッション関係御用達のイケてるスタイルができることで有名な店だった。以前、何回か茉莉も利用したことがあったので、知り合いのスタイリストもいて安心できた。この店をアンディに紹介しておけばバッチリと彼女は思う。
「予約入れたよ」
「え?あの」
「サロンの。今日夕方だったらオッケーだって」
「ありがとう」
アンディは躊躇しながらも嬉しそうな表情になる。ちょっとワクワクしてくる。
「あ、ごめん」
茉莉は急いでお化粧室へ向かう。彼女にしては珍しく薄化粧で、おまけに昼に餃子を食べたからと、急に気になり始める。急いで彼女は化粧を直すとブレスケアをする。アンディに失礼にならないようにと彼女なりに気を使う。

待っている間、彼はお腹が空いていることに気づく。でも、もうランチタイムは過ぎている。
「どうしよう」
茉莉をどこへ連れて行こうかと考え始めて、これではまるでデートではないかと、またもや心臓がバクバクし始める。
「お待たせ」
なんだかさっきより少し綺麗になって彼女が戻ってくる。
「あの、お昼はすんでるんだよね」
彼にそう聞かれて、彼女は彼がお昼がまだなのに気づく。
「ごめんね。気づかなくて」
「いや、いいんだ。言わなかったから、その」
「何か食べたいものあるの?」
「うーんと、もし、よければティーサロンにでも」
アンディは以前、両親と行ったティーサロンのアフタヌーンを提案する。お洒落な雰囲気で、きっと彼女に似合うだろうと感じる。自分はBLTを食べれば十分だから、、。
「うん。いいよ。どこか知ってるの?」
「案内するよ」
彼は彼女に先立って歩く。そうしているとまるで彼氏になったようで、頬が赤くなり高揚してくる。ここで手を繋ぎたくなるけれど、ぎゅっと手を握りしめて彼は我慢する。気持ちばかりが先走って、それに乗ってしまっては、茉莉に嫌われそうで怖い。
そんな彼の気持ちに彼女は全く気づかずに、美味しいお茶が飲めて可愛いお菓子が出てくるのかなと期待している。
「いらっしゃいませ」
サロンに着くと店先にアフタヌーンティーのメニューが出ている。
「あ、マカロン」
嬉しそうな彼女の声に案内したアンディはほっとする。
「好きなの?マカロン」
「うん。大好きなの」
そう答える茉莉の声は可愛らしかった。甘えたような響きがまるで少女のようだった。