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zoom RSS ろまんくらぶ「仮面の天使」109

<<   作成日時 : 2018/02/06 14:44   >>

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なげやりになりながらも茉莉がもっとキツイ態度を取り出したらどうしようと健の不安は強くなる。ボールペンをくるくると回しながら、イライラを鎮めようとする。これではどうにも仕事に身が入らない。
「ああああ〜」
ちょっと妙な声を出しながら思わず頭を抱えてしまう。
「ほんっとどうしたんですかあ?」
部下がおかしな状態の彼を見て声をかけてくる。
「い、いや、なんでもない」
「大丈夫なんですか?」
「だ、大丈夫だ、大丈夫」
自分に言い聞かせるように健は繰り返す。
「とりあえずっと」
ちょっと気分を変えようと彼は席をはずす。フロアーを出ると廊下の自販機の前に来る。ポケットから100円を出し、機械に入れる。ゴトーンと音がして、コーヒーの缶が落ちてくる。ごくっと一口飲み、ため息をつきながら、機械の横のベンチに腰掛ける。
「何やってんだろ、俺は、、」
以前ならどちらかと言えば、この恋愛の主導権を握っていたのは健だった。それが今では茉莉の一喜一憂に振り回され、彼女の顔色をうかがう毎日が続いている。彼女はもう以前のふわっとした雰囲気の少女では無くなってしまっていた。それが悪いというわけではなく、だんだん大人になれば、時間が経てば人は変わるものだ。でも茉莉の場合、健に傷つけられてから、その態度は頑ななままだった。彼女の周囲には健に対する防波堤が築かれていて、押しても引いてもうんともすんとも言わないどころか、反応するのさえ拒否している。たまに彼女から返事らしきものがあったとしても、それは必要最小限に留まっている。
「このままこんな状況が続くのだろうか」
ぽつっと呟く健だった。

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