ろまんくらぶ「仮面の天使」181
「あれ?」
手の甲にポタリとひとつぶ涙が落ちてくる。なんでだろうと思いながら、指先で目尻をそっと拭う。じわっと溢れてくるのを止めることは難しい。でも、それが続かないように必死に茉莉はこらえる。こんなところで泣き出したら、また「どうかしたんですか?」などと声をかけられかねない。今はひとりでそっとしていたい。それと同時に自分がひとりぼっちなのを彼女は強く感じる。喧騒に癒されたくて渋谷に来たのに、孤独が深まるばかりだった。両手をカウンターの上でぎゅっと握りしめ、まぶたをぎゅっと閉じる。泣いてはいけない、弱くちゃいけない、彼女は無理なことを自身に要求する。
「もうやだ」
呟くと席を立つ。プラスチックカップの中身を飲み残しのコーナーに流し、ストローとペーパーナプキンをそれぞれのゴミ箱に入れる。本音を言えば少し叫び出したい気分になってきた。勢いよく階段を降りるとセンター街へ向かう。人の群れをかき分けかき分け足早にレコード店へ向かう。何か新しいアーティストでも見つければきっと気分も変わるだろうと、店のエレベーターで海外ミュージシャンのコーナーへと急ぐ。適当に見繕ってヘッドフォンを被りCDディスクを試し聴きしていく。これじゃない、あれじゃないと次々とディスクを変えていく。
そのコーナーを離れ、別のコーナーへ行くと、好きなアーティストの新譜が出ている。色々あってしばらく沈黙していたそのアーティストの曲を聴こうと思う。ヘッドフォンをあて、少し気分を集中する。そしてメロディーが流れてくる。その曲は誰もがひとりでは生きられないと語りかけてくる。目を閉じて茉莉は曲に聴き入る。
珍しく電車で渋谷駅に着き、アンディはひとりでスクランブル交差点を歩き出す。いつもは運転手付きの車で移動していたから、なんだか新鮮だった。今日は誰にも邪魔されず、好きなように動きたかった。運転手がついてくると、いちいち彼がどこへ行ったのか執事に報告されてしまう。それもアンディには面倒なことだった。反抗期の少年のように、どこへ行ったってそれは自由でしょ?と思う時もしばしばだった。だから今日は執事に行き先も告げず、「出かける」の一言で済ませて、電車に乗った。渋谷行きの電車は満員で、さすがに彼も少し疲れた。駅を降りると角に大きなカフェが見えたので、彼はそこで一休みしようと思った。
注文を済ませ、2階のフロアーへ上がる。席を探すと、テーブルが一つ空いていた。スツールに腰掛けると、一息つく。コーヒーのいい香りが辺りに漂い、アンディはほっとする。
「今日はどこへ行こうかな」
彼は早速、どのファッションビルへ行こうかとあれこれ考えてワクワクしてきた。
手の甲にポタリとひとつぶ涙が落ちてくる。なんでだろうと思いながら、指先で目尻をそっと拭う。じわっと溢れてくるのを止めることは難しい。でも、それが続かないように必死に茉莉はこらえる。こんなところで泣き出したら、また「どうかしたんですか?」などと声をかけられかねない。今はひとりでそっとしていたい。それと同時に自分がひとりぼっちなのを彼女は強く感じる。喧騒に癒されたくて渋谷に来たのに、孤独が深まるばかりだった。両手をカウンターの上でぎゅっと握りしめ、まぶたをぎゅっと閉じる。泣いてはいけない、弱くちゃいけない、彼女は無理なことを自身に要求する。
「もうやだ」
呟くと席を立つ。プラスチックカップの中身を飲み残しのコーナーに流し、ストローとペーパーナプキンをそれぞれのゴミ箱に入れる。本音を言えば少し叫び出したい気分になってきた。勢いよく階段を降りるとセンター街へ向かう。人の群れをかき分けかき分け足早にレコード店へ向かう。何か新しいアーティストでも見つければきっと気分も変わるだろうと、店のエレベーターで海外ミュージシャンのコーナーへと急ぐ。適当に見繕ってヘッドフォンを被りCDディスクを試し聴きしていく。これじゃない、あれじゃないと次々とディスクを変えていく。
そのコーナーを離れ、別のコーナーへ行くと、好きなアーティストの新譜が出ている。色々あってしばらく沈黙していたそのアーティストの曲を聴こうと思う。ヘッドフォンをあて、少し気分を集中する。そしてメロディーが流れてくる。その曲は誰もがひとりでは生きられないと語りかけてくる。目を閉じて茉莉は曲に聴き入る。
珍しく電車で渋谷駅に着き、アンディはひとりでスクランブル交差点を歩き出す。いつもは運転手付きの車で移動していたから、なんだか新鮮だった。今日は誰にも邪魔されず、好きなように動きたかった。運転手がついてくると、いちいち彼がどこへ行ったのか執事に報告されてしまう。それもアンディには面倒なことだった。反抗期の少年のように、どこへ行ったってそれは自由でしょ?と思う時もしばしばだった。だから今日は執事に行き先も告げず、「出かける」の一言で済ませて、電車に乗った。渋谷行きの電車は満員で、さすがに彼も少し疲れた。駅を降りると角に大きなカフェが見えたので、彼はそこで一休みしようと思った。
注文を済ませ、2階のフロアーへ上がる。席を探すと、テーブルが一つ空いていた。スツールに腰掛けると、一息つく。コーヒーのいい香りが辺りに漂い、アンディはほっとする。
「今日はどこへ行こうかな」
彼は早速、どのファッションビルへ行こうかとあれこれ考えてワクワクしてきた。
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