ろまんくらぶ「仮面の天使」174

不埒な気持ちが消え失せた健はそのままその女性が梅を見つめるに任せていた。

突然、彼女は振り向くと健に向き合う。
「あなたは?どうなのかな」
急な質問に彼は動揺する。
「俺は、、」
ため息が漏れてくる。
「ふふ。何か悩んでいそう」
「まあ、そうだね。正直なところ」
「私で相談役になれるのかな」
「いや、今夜はやめとくよ。俺自身、心が騒がしくて、持て余してるし」
「そうなんだ。きっと相手の女性をとても好きなのね」
「まあ、複雑になってしまったというか、こじれているというか」
「そう」
夜風が言葉を運んでいく、、。愛に迷うふたりはそれぞれの世界に囚われたままだった。

「喫茶店行く?」
「そうね。ちょっと寒くなってきたし、ほら、酔い覚まし」
「そうだね。遅いけど開いてる店知ってるから、案内するよ」
健は先にたって歩いて行く。静かな空気が流れて行く。

ふたりは繁華街の角にある少し古めかしい喫茶店に入る。



「うん?」
「あ、起きた?」
茉莉は目を覚ます。
「寝ちゃってたんだ」
「うん。よく寝てた。疲れてるのかな?」
「ううん。なんとなく智子と京子がいると安心しちゃって」
「そう言われると悪い気はしないね」
智子と京子はウンウンと頷きあう。
「そろそろ帰ろっか」
「うん。いつものカフェ行こうか」
「そうだね」
3人は連れ立ってクラブを後にする。
深夜のまばらなネオンが彼女達を柔らかく包んでいた。

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