ろまんくらぶ「仮面の天使」168

「ああ」
どうしたらいいのか、、。アンディは深いため息を漏らす。将来は上海にある会社の後継者と決まっている。当然中国に帰国しなければならない。でも、茉莉は日本での仕事が将来はあるだろう。勉強熱心な彼女を見ているときっとやりたい仕事があるのだろう。そこまで考えて彼はハッとする。
「いやいやいや」
まだ気持ちも伝えてないし、何せ始まったばかりの心の動揺にさっきの考えは早すぎるだろう。一体自分は何を考えているんだと彼は頭を抱える。こうなるとアンディは真面目な青年らしく、気持ちを持て余し、どうしたらいいのかわからない。閉じた書物を開く気にもならない。

仕方なく彼は読書を諦め、自室を出てバスルームへ向かう。気分を変えようと入浴剤を選ぶ。お湯を入れている間、彼はぼんやりと鏡を見ていた。メガネを外し、顔を鏡に近づけ、じっくりと自分を見つめる。
「コンタクトにでもしようか、、」
アンディの瞳はメガネをかけているとわからないけれど、少し薄茶色がかっていた。鏡を見ながら、髪型を気にして指先で毛先をいじる。


静かな空間に電話のベルが鳴る。執事はそれを素早く受ける。
「はい。ええ、まあ、特別は。あ、でもぼっちゃまの様子が少し」
「どんな様子かな?」
「ええ、なんだか、その、ぼうっとしていて、そわそわしていて、、」
「ほっほー。アンディにも春が来たのかな?」
「よろしいので?」
「いいだろう。アンディは真面目すぎるから、少しは周りに目を向けないと、、」
「かしこまりました」
「それに、日本での友人づきあいも必要だよ。相手はどんな女性かな?」
「それは、まだ、、。私もお目にかかったことがございませんので。どうも大学の関係の方の様で」
「それは確かかな?」
「ええ。ぼっちゃまは大学と家の往復で、遊びにも行かれませんし」
「うーん、そうか。それは困ったものだ。多少の遊びも社会勉強だがな」
「そうですね。確かに。どうしましょう」
「まあ、様子見していてくれ。いずれ分かるだろうから」
「かしこまりました」

見抜かれているとも知らず、アンディはバスルームでのんびりしていた。ちょっと初恋の女性のことを思い出していた。

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