ろまんくらぶ「仮面の天使」162

智子と京子が待っているカフェに向かって茉莉は急ぐ。春先の夕方の風に彼女の髪とドレスがふわふわと揺れている。ほんのりとした甘い香りが彼女が歩を進めるたびに粒子となってすれ違う人々の鼻先をくすぐる。
「待ったあ?ごめんね、ちょっと野暮用」
「え、なになに」
「あ、うん。同じクラスの子にノート見せてたの」
「ふうん」
「え、それって男子?女子?」
「うん。男子だけど、それが?」
「ほほー。その子ってよく見る学生さん?」
「うん。だいたいいつも席が近いから、顔見知りだけど」
「へえ」
「新たな出会いかも」
友人達は茉莉を茶化す。
「ええー?それはないと思うよ。その子って真面目な感じだもん」
「その真面目な男子が、ドキドキしてたりして」
京子は鋭いツッコミを入れてくる。
「まっさかあ」
茉莉はそんなことには構わない。
「それよりさ、ねえ、何食べる?」
「あーそうだね。で、だいいちどこ行くの?」
「茉莉は渋谷とか言ってたよね」
「まあ、どこでも」
「どこでもって、、、じゃあ、久しぶりに六本木とか?」
「いいけど。食べるとこあったっけ」
「あるよ。ほらアメリカンな店。結構なボリュームの料理があるとこ」
「ああ、あのシマシマの」
「うん。そこ」
「オッケー、じゃ、六本木ね」
「イエイ」
こうなると彼女達はちょっとはしゃいでノリノリになる。

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