ろまんくらぶ「仮面の天使」155

クローゼットの中の服を選びながら茉莉は呟く。
「でも、、」
ため息をつきながら、こんなことを毎日繰り返していて一体何になるんだろうかと、ドレスを選ぶ手を止める。まだ大学生なのに、心が汚れてしまったように感じる。
「どうしてこんな生活をしているのだろう」
半ばやけになりながら選んだドレスはショッキングピンクのミニだった。襟元が大きく開いていてこれではクラブに男を誘いに行くようなものだった。身につけながら彼女は思う。
「なんだか綺麗じゃない」
さっきまでの浮かれた気分は消え去り、彼女は髪型をツインテールにするのをやめる。鏡台のテーブルにぽたぽたと涙が落ちてくる。
「なんの涙なのかな」
背中が寂しそうに呟く。

支度をすませると彼女は鞄に今日の授業の本を詰める。なるべくコンパクトになるように小さな鞄を選ぶ。
「ま、行かないと」
何があっても授業だけはサボったことはなかったけど、こんな気分では集中できないだろうなと感じる。

下駄箱へ昨夜履いていた靴を戻すと、ピンクのドレスに合わせて、同色の靴を選ぶ。今夜はなんだかピンヒールの気分ではなかったので、ローヒールを履く。こんな気分の時は健と諍いを起こしていた時のように、何もかも忘れて踊り続けるのだろうと予想する。踊っていれば何も考えなくてよかった。

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