ろまんくらぶ「仮面の天使」151

マンションに着くと茉莉は玄関の鍵を開け、抜き足差し足でこっそりと自分の部屋へ入る。どうやら健はまだ眠っているようで家の中はシンとしている。
「やれやれよっこいしょっ」
っと彼女はベッドに横になる。そのまま昼まで眠ろうとルームウェアに着替える。彼にこの後起こされないように、彼女が帰ってきた事を隠そうと、靴は自分の部屋まで持ってきていた。そこは抜かりない。
「でも」
なんだかこんな生活嫌だなあと彼女は思う。その内うとうとと眠りにはいる。

茉莉が戻ってきてから30分過ぎた頃だろうか、健は目を覚ます。丁度、目覚ましが鳴る直前だった。ベッドを出るとシャワーを浴びにバスルームへ向かい、いつものように身支度を整える。マンションの中は静まり返っている。玄関を見てみるとやっぱり彼女の靴はない。
「帰ってこなかったのか、、」
彼は深いため息を吐く。
「こんなんでいいわけないのに」
ポツリと呟く。

キッチンへ入ると、コーヒーをいれ、ロールパンを軽く温める。二日酔い気味なので水を一杯飲む。それ以上何をする気も起こらないので、そのままスーツに着替える。
「今日は特に来客とかはなかったかな」
それでも一応ネクタイは締める。

鏡を見ていると突然、茉莉の肌を思い浮かべる。
「まずいなあ、これ」
自然な男女の関係が保たれないまま一緒にいると、余計に何かがくすぶってくる。この頃では時々、彼女の生身が夢の中に出てくる。
「サキュバスにお世話になりたい」
なんてとてつもない事を考えそうだった。
「あー」
なんだか危険な領域に健は入りそうだった。

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