ろまんくらぶ「仮面の天使」117

書類の脇に置いてあるスマホを見るとメール着信のランプが光っている。メールを開けると取引先からだった。到着時刻に少し遅れるという。時計を見ると予定時刻の6時半を過ぎている。書類を読むことにも少し疲れたので、ファイルを閉じると、健は伸びをする。あたりを見渡すと仲の良さそうなカップルらしき二人連れが、楽しそうにおしゃべりをしている。
「いけない、いけない」
また茉莉とのことを考えてしまうと、恥ずかしそうに頬を染めて紅茶を飲んでいた彼女の姿がぼんやりと浮かんでくる。
「お待たせして申し訳ない」
甘いイメージを破るように取引先の男性がやってくる。
「いえ、いつもお世話になっております」
健も立ち上がると挨拶をする。
「さてっと、、」
相手が資料を鞄から取り出すとウェイトレスがやってくる。
「ご注文はお決まりですか?」
「ええっと、コーヒー。ブラックで」
「かしこまりました」
彼女が行ってしまうと、健と彼、高崎友之は互いに資料をテーブルに広げる。
「それでは、当社の資料はこちらになりますので、一部まずお渡しいたします」
それを受け取り、今度は健が自社の資料を一部、高崎に渡す。
「こちらを」
「かしこまりました」
それを受け取った高崎は早速書類に目を通し始める。健も同様だった。
「お待たせいたしました。コーヒーをブラックでよろしかったでしょうか」
「ええ」
「失礼いたします」
ウェイトレスが行ってしまうと、高崎は運ばれてきたカップに早速口をつける。
「ああ、いいねえ、ここのコーヒーは」
サイフォンでいれてあるのだろうか。まろやかで深みのあるここの店のコーヒーを高崎はえらく気に入っている。
「さてっと、、、内容は一通りわかりました」
「そうですね。私も」
健も同調する。
「だいたい、前回、会議したようになりそうですね」
「ええ。社内で相談決定した内容は前回の会議を踏まえてありますので」
健は丁寧な口調で応じる。
「それでは、このプロジェクトは上手く行きそうですね」
高崎も満足そうだった。健はしっかりと頷く。
「さーてっと」
受け取った書類を閉じると高崎はちょっと伸びをする。
「今晩はどこに行きましょうか」
彼はもうどこか粋なところで一杯やることを考えている。

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