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zoom RSS ろまんくらぶ「仮面の天使」125

<<   作成日時 : 2018/06/13 15:04   >>

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ほどほどに酔いが回ってきて健はちょっと口を滑らせる。
「ふられたって、どういう」
「あ、聞くの?そこ、は〜ん?」
友之は目を細めながら、危なげな視線をくるりと健に向ける。なんだかその瞳も赤くなってきている感じがする。聞いてから健はやばいと思った。友之はくるりとまたバーテンダーの方を向く。
「ふられたんだけどさ、、、ってか他の男にとられたんだよ。ちくしょう」
ああ、やっぱりまずいとこに突っ込んでしまったと健は感じる。相手はどんなヤツだった?なんて質問するほど友之とまだ親しくない。でも彼は自分で話し始める。
「俺の彼女を奪った男は俺よりも若くて、行動力もあって、それで彼女にグイグイきて」
「はあ」その後、どうなったんですかとも聞きづらい。健はただ耳を傾ける。
「彼女、その彼とすぐに結婚しちゃったんだよ」
友之はバーカウンターにだらりと両腕を乗せる。その話に健は何も言うことができず沈黙が流れる。すると友之はまたくるりと健に顔を向ける。
「んで?おたくの恋愛はどうなのよ」
酔いが深くなってきているのか口のききかたがぞんざいになってくる。
「あ、それは、もう、あんまり、、。ご想像にお任せします」
「んあ?別れそうなのかな、なんちゃって」
「いえ、まだ、そこまでは」
健はちょっと嘘を吐く。半分別れたも同然の茉莉との関係をうまく説明できない。愛している彼女と一緒に住んでいるのに、当の彼女にそっぽを向かれているのだ。以前は彼女の考えていることがよくわかったのに、今では何を思っているのかよくわからない。2人で家にいる時、彼女はほとんど部屋から出てこない。健と顔を合わせないように朝早く出かけたり、夜は帰ってこないことも度々だった。
「どうしたらいいんだろう」
ぽつりと健は小さく呟く。その声は幸い友之には届かなかった。彼に根掘り葉掘り聞かれたくはなかったからだ。

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