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zoom RSS ろまんくらぶ「仮面の天使」107

<<   作成日時 : 2018/01/13 12:01   >>

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教室に入ると茉莉はいつものようにクラスの真ん中あたりに席をとる。学業だけはとにかくちゃんとしていた。あるいはそうするように心がけていた。いずれ健と離れてひとりで生活するのなら、それなりの収入がもちろん必要だったからだ。今は教授の手伝いをして、ちょっとお小遣いもらって、それでいいけれど、、、その後は、、。いろいろ考えると彼女はちょっと不安になってくるのだった。教授がかりてくれていたマンションを健と茉莉の弟が強制的に解約させてしまった。それを考えると彼女は腹が立ってきて、シャープペンの芯をポキポキと折る。そうだ。とにかくあのふたりから離れないとならない、、。そう決心したようにひとりでうんうんと頷いている。頭がついお留守になってしまっていたことを反省しつつ、茉莉はサラサラとノートをとる。
「はい。じゃ、今日はここまで、、。次週までに黒板に指定したページを読んでおくように」
終業の合図とともに学生達は皆一斉に席を立つ。ノートと本を閉じると茉莉は少しぐずぐずしている。時々何もかも面倒くさくなって全て放り出したくなることもある。
「さてっと」
片付けると彼女は次の授業へと向かう。教室は少し離れた新館なので少し早足になる。10分休憩に自販機でコーヒーを買って飲もうかと思ったが、ぼんやりしていたので時間がなくなる。教室に着くと、いつも一番乗りの熱心な男子学生が今日も真ん中に陣取っていた。
「いつも早いね」
茉莉から声をかけると、彼はちょっと微笑んで頷く。
「まあね。だって俺、単位なるべくいい点で取りたいから」
彼ははっきりとそう話す。
「君は?」
聞かれて茉莉はあっさりと同じことを答える。
「私も。点数は欲しいもん」
「じゃあ、俺達、目的は同じだね」
彼は爽やかな笑顔を茉莉に向ける。彼女はちょっとだけ昔の自分を思い出す。まさか男性問題でややこしくて、独り立ちしたいなどとは説明できない。

そのうちに他の学生達もだんだんと教室に入ってくると、席がだいぶ埋まってくる。始業の鐘が鳴った後、担当教授が入ってくる。難しい内容を話すけれど、その格好はいつももさっとしている。
「あー、前回説明したことは理解できたかね?」
早速、授業が始まる。

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